open

『いま日本人に読ませたい「戦前の教科書」』

「戦前の教科書」と聞くと、どのようなイメージを持たれるだろうか。

戦後の「墨塗り教科書」の印象のせいか、戦前の教科書といえば、軍国主義的で、天皇崇拝、封建社会礼賛の思想が詰まった、国威発揚のためのツールでありバイブルのような印象を持たれがちのように思える。

たしかに、第二次世界大戦直前には、武勇を鼓舞するような表現も増えていたそうだが、それ以前の教科書、大正から昭和初期に使用されていた国語の教科書は、まさに「粋」で「風流」な教科書であったという。

戦前の教科書では、人間教育は「知・情・意」の三拍子が大切であるという思想のもと、初等教育では徹底して「情」の教育、すなわち情操教育が重視されていた。
そもそも、小学校低学年~中学年までは、一週間の授業時間のうち、半分以上が国語の時間に割かれており、その授業時間の大半を占める国語の授業のなかで重視されていたのは、知識を詰め込むことではなく、ひたすらに「感情」を育むことであったのだ。

情がなければ、「こうなりたい」という意志も生まれない。
意志がなければ、「知」を積極的に学ぶ力は生まれない。
教育の原点が「情」の教育と言われる所以である。

元号が変わり、「平成時代」も過去のものとなった昨今、「昔はよかった」と懐古主義的に戦前の教科書を礼賛するでなしに、戦前の教科書は「なにがよかったのか」を学びなおし、風流な人間になろうじゃないか。
そう思える一冊であった。

(株式会社梓書院 前田 司)

よく読まれている関連記事