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九州のM&A事情 後継者不足の中小企業を支える事業承継について

事業を興し、成長させることができる企業は限られる。
そうやって長年存続してきた企業を次の世代に引継ぐことができる企業はさらに少ない。
それほど、事業承継が難しい時代になってきたのだろう。
後継者不足に経営者が頭を抱える昨今、事業承継の一つの手法としてM&Aの事例が増えている。
九州M&Aサポート株式会社(福岡市中央区)には、地場資本のM&A専門会社として内外から案件が持ち込まれている。
藤本周二社長に九州のM&A事情について聞いた。

市場は拡大している

最近の案件数や傾向

―二〇一五年三月、九州地場のM&A支援会社として設立、様々な案件を手掛けて来られたと思いますが、最近の案件数や傾向から聞かせてください。

 

藤本

M&Aの数自体は、私どもの周りでは増えていると思います。
その分、失敗事例も多いですが。

 

失敗する事例の傾向

―失敗する事例には、どのような傾向がありますか。

 

藤本

失敗する事例には、大きく分けるとM&A前と後の二つがあります。
M&A前の失敗が圧倒的に多いのですが、後の失敗も増えています。
会社を買ったのは良いが、実際に経営してみると経営が成り立たないようなものだったり、キーマンが辞めてしまったりと、事前に予測が及ばなかったようなケースがあります。

 

―なぜ、そういう失敗が起きるのですか。

 

藤本

幾つかの要因が考えられますが、気分的に前のめりになっている会社が多いのが今のM&Aの現状です。
本業が儲かって、ちょっと余裕があると手を広げたいと前のめりになっているので、事前の調査で専門家からリスクなどについて指摘されていたとしても、それが見えなくなってしまう。
だから、会社を買って実際に経営してみると、予想と違っていたということになるわけです。
M&Aが流行って来たのは一〇年程前からだと思います。
会社を売りたい人は少しずつ増えてきましたが、買いたい人の数がそれをかなり上回っているのが現状です。
そうなると、売る方は高く売りたいと思いますし、買い手が多いことから高買いの状態になっている可能性もあります。

 

安定顧客が付く業種が人気

買い手企業について

―買い手は東京などの会社ですか。

 

藤本

私どもにも登録している会社のなかで、二〇〇社程が買いを希望されています。
東京の会社が一〇〇程、福岡でも一〇〇社程です。

 

人気の業種と需要が少ない業種

―買収の対象として人気が高い業種はありますか。

 

藤本

抽象的な表現でいうと、誰がやっても利益が出る業種を皆、欲しがります。
例えば、すでに商品やサービスの提供に関する継続的な契約を顧客と結んでいるような会社です。
そのような会社は、オーナーが変わっても途中で解約するような動きはそれほど多くはありません。
また、福岡に基盤がなくても直接顧客ともつながりを持つことができるというメリットもあります。
こうした業種は、今売れば高値で売れると思います。

 

―逆にM&Aの対象として需要が少ない業種は。

 

藤本

病院は、全般的に業績が落ちていますから、国内での買い手が少ないといえます。
入院施設を持っている病院は、入院によって収益を上げていました。
しかし、国が入院日数を短くする方向に向いているので、ベッド数の多い病院は苦戦しています。
入院日数や入院患者の数が減っているのに医者や看護師の人件費を下げるのは難しく、コスト高となり利益体質になっていない。
そのため、以前は、ベッド数が多い病院は高値が付いていましたが、今は全般的に病院の価格が下がっています。
しかし、経営マインドがあると変わります。
例えば歯医医院。歯科医は絶対に必要です。
女性にとっての美容室や男性にとっての床屋もそうです。
ということは、やりようによっては成り立つ業種なのです。
病院経営の能力があれば、価格が下がってきている今は、安く買って経営できるかもしれません。

 

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