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当世ビジネス芯話 社長は見られている⑯ 社長は文化を大切にすべき

文化事業に対する意識

先日、知り合いの社長から相談を受けた。
本業以外に文化事業を手掛けているが、行政の予算や企業からの支援が年々厳しくなり、文化事業の継続が難しくなるかもしれないと不安を抱いていた。

以前は、「企業メセナ」と称し、社会貢献活動に取り組む企業も多かった。
今でも、社会貢献活動に力を入れている社長もおられるが、社会貢献、なかでも文化事業に対する理解は以前に比べると、随分低くなっているように感じる。
経済がグローバル化したことが地域や地域の文化との関係を希薄にしているのか、それとも、企業に経済的な余力がなくなってきたのか、自社の利益に直接つながることばかりを重視する経営者が増えているようにも感じる。

文化は地域の繁栄を物語る

文化という言葉には曖昧さを感じるが、生活の質を高めるために、或は、高めていく過程で生まれ、整えてきた生活様式の一種であると考えると、文化は金にならないという社長もいるが、文化の底上げを図ることは経済的な繁栄につながるものだと考えられる。
芸能、スポーツ、もてなしなど幾つもの種類の文化が存在するが、文化の拠点となる施設があることで、人を引き寄せ、地域に大きな経済効果を生み出す力となる。
例えば、福岡ソフトバンクホークスやアピスパ、ライジングゼファー福岡の試合では、福岡内外からファンが集まるし、関連グッズや飲食の売上も上がる。
人が移動するため、交通機関や宿泊施設の需要も伸びる。博多座も歌舞伎をはじめ演劇など芸能文化を福岡、九州で押し上げるのに大きく貢献している。
福岡は、人をもてなす文化も発達した。
博多券番は、福岡の「おもてなし」の顔でもある。
現在の福岡の経済規模を考えると、もっと多くの券番と芸妓衆が存在してもおかしくはない。

文化を育てるのは、時間、労力、お金がかかる。
そのため、地域で経済活動を営む企業のトップが文化に対して理解を持ってもらいたいと思う。
文化は、その地域の格を測る物差しでもあるからだ。
「博多券番は福岡の顔。それを守るのは博多商人の努め。だから、券番や芸妓衆が減るのは、博多商人の恥」だと指摘された財界人がおられた。
まったく、同感である。

地域に貢献することがプラスに働く

昔の豪商は、地域の文化や技術を守ることに熱心だった。
それは、地域の繁栄がなければ、自分の商売の発展もないと考えていたからだろう。
例えば、天候不順で米や作物が採れず、地域経済が落ち込むと村人が土地を捨てて出ていったり、大工などの職人の仕事がなくなり技術が途絶える。
豪商たちは、資金を出して道の整備や豪華な家を建てて人々の仕事を確保した。
祭りを開催するのもそうした考え方から行っていたのではなかろうか。

経済活動を行う企業は、それぞれ自立している存在ではあるが、我々が暮らす土地は地続きで皆がつながっていることを考えると、地域に貢献する活動は、後々、自社の経営にとってもプラスに働くはずだ。

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