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93. ヒトニツイテ

ここに二冊の絵本がある。
加古里子さんの「人間」と、五味太郎さんの「ヒトニツイテ」。
どちらも「人」について描かれている。
今月は後者を紹介したい。

その本題に入る前に、少しだけ前者の「人間」についてご紹介しよう。

加古さんの絵本はまるで図鑑のようだ。宇宙のはじまりから人の誕生、そして身体の仕組みや、人間の歴史など、「生命の設計書」科学図鑑として、正確なデータに基づいた知識を得ることができる。
知識が増えれば世界観が広がるし、思考の枠組みが大きくなる。
インプット絵本はそうしたよさがある。

しかし今回ご紹介したいのは、後者のアウトプットを促す「ヒトニツイテ」。
絵本に学ぶ仕事術の趣旨に沿った、職場のコミュニケーションとなる「問い」を多く含んでいるからだ。

まず、この本は、小型のサイズで、ページ数も文字数もぐっと少ない。
そして、物語はフィクションなので、感じ方読み取り方も人それぞれに違ってよい安心感がある。
私は、人の生理的欲求・・つまり、最も根本的な欲求を満たすその時にこそ、人は本質が見えるもの・・と読んだ。
絵本のそのヒトは旧人類であろうか。まだ進化を始めたばかりと見える。

ヒトは生きるために食べる。
まず、目にしたものが食べ物であるかどうかを見て判断し、その獲物を捕獲するために工夫をすることができる。
知恵を使うことができる。
ヒトは他を愛することができる。と共に、自分勝手でもある。
反省もするがすぐに忘れる。
こうやってみると、私たちは姿形こそ進化しても業は変わらないようだ。

絵本には、こうした愚かさを暴き出す強烈さが各所にある。
が、なぜか滑稽に感じてしまうのは、五味太郎さんの絵だからだろう。
一つ一つのシーン隠れている問いを見つけて「なぜ人は働くのか?(なぜ食べるのか)」「われわれは、自分のことしか見えていないのではないだろうか」・・など、企業価値を問う良質な話題の一つにすることができるのでは?とご紹介したい。

あなたはこの絵本から何を読み解きましたか?

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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