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94. ひみつのビクビク

北九州市にある黒崎駅は、一日に一五〇〇〇人余りが乗降するJR九州第六番目の駅(二〇一七年調べ)である。
南側に商店街、北側には日本の近代化を支えた工場地帯が広がる。
二〇一五年からその街の活性化事業のお手伝いをしたことがきっかけで、月に一度朝の挨拶運動を続けてきた。

最初は三社(者)から始まった。
徐々に周辺企業が参加し、今や第四週の水曜日、朝七時三十分から八時二十分までと定例化した。
改札口周辺に並び「おはようございます」と元気よくあいさつする。
しかし今年に入って、「働き方改革で早朝の参加がさせられなくなった」と、やむを得ず中止にする企業が相次ぎ、そして、本日、とうとう賛同してくれる高校の学生と教員と私だけとなった。
日本人が美徳としてきた奉仕の精神を育む機会は、もう企業に期待できないのだと思った。
働き方改革とは何だろう。

もしも「このような理由で活動をやめるなんて、私たちは本当に地域に根差した企業と言えることなのだろうか。私は続けたほうがいいと思う」という考えをもった社員がいたとして、その声を発することができるだろうか。
これは働き方改革の制度だけの話ではない。
企業がやれというからやる。やめよというからやめる。
「結の精神」を以て、はた(を)らくにする=働くの考え方は日本人の美学だと誇りをもって言える人が、思いを実現させる社会だろうか?と思うのだ。
しかも、これは、業務改善においても同じことだ。
こうしたらもっとよくなるのに・・と思うけれどなかなか言い出せない。
上長の評価や、同僚後輩の顔が浮かぶ。
叱れたくない、嫌われたくない。

今月はそうした自分の中のビクビクを取り払いたいと思っている人に贈る「ひみつのビクビク」をご紹介したい。

絵本には、自分の中にしまっている〝前を進むことを止めてしまう想い”について描かれている。
転校した女の子はある日ビクビクの存在を知る。
片時も離れず、夜もずっとしゃべりっぱなしのビクビク。
でもある出会いによって本当は誰にでもあることがわかった。
するとだんだん小さくなって・・・こんなお話だ。

動きたくても何かが邪魔して動けない、あらゆることを制限するビクビクが私にいると気づいたら、それはまた新しい道への一歩になる。
知ることで認めることで、そこを超えていけるかもしれないから。
そう信じて、お届けします。社会がキラキラになりますように。

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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