open

『県民性 文化人類学的考察』

五〇年前の内容でも現在に通じる面白さが魅力

丸善が創業一五〇周年を記念して「名著復刊」と題した、文庫・新書の復刊企画を行っている。
その第一弾として復刊された新書のひとつが、五〇年近く前に出版された本書である。

テレビ番組の影響もあってか、近年ではさまざまな県民本などの発刊が相次ぎ、「ご当地ブーム」のような情況が続いている。
方言や名物、文化の違いなどなど、県民性の話題はいつでもどこでも盛り上がる、ひとつの「鉄板ネタ」ともいえるだろう。
本書も約五〇年前に調査分析された内容ではあるが、今に通じる面白さであふれている。

当時の各種統計データから「藩の文化圏」の内容まで

本書の前半では、現地調査をはじめ、県人会の活動の活発さ、離婚率や犯罪率などの各種統計データに、パーソナリティ診断テスト、軍隊・自衛隊での出身地別の傾向など、さまざまな面から「県民性とはなにか」に迫っている。

そして後半では、各県ごとの県民性診断が行われていくのであるが、日本の多様性を実感するとともに、現在の行政区分ではわかりにくくなってしまった「藩の文化圏」の存在を感じられる。

相互理解の足掛かりとして…

県民性は一種のステレオタイプでもあり、個人差もあるだろうから、県民性を疎ましく思う人もなかにはいるだろう。
一方で、パーソナリティの分析や、相互理解の足掛かりとして役立つ面もあるだろう。
血液型占いや動物占いなどがもてはやされるのも、占いをひとつの指標として、自他のパーソナリティを説明するのに役立っているからだと思う。
人が人を理解するための手段のひとつとして、県民性の虚像と実像に踊らされてみるのもまた一興であろうか。

(株式会社梓書院 前田 司)

よく読まれている関連記事