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『日本語の個性』

以前ご紹介した「県民性」に続き、丸善一五〇周年記念の「名著復刊」シリーズで手にしたもう一冊の本。それが本書である。
本書の初版は一九七六年であり、いまから四〇年以上前の本になる。
しかし、やはりこちらも古くささは感じることもなく、現代のこととして違和感なく読むことができる。

当時、シンポジウムが流行しはじめていたこと、速記者からテープレコーダーに変わっていったことなどは時代を感じるところもあるが、だからこそ、話し言葉と書き言葉の違い、そこに生じる話者の意図との微妙なズレなどをより鋭く感じることができる。

ときに「世界一難しい言語」だと言われる、我々が空気のようにまとっている日本語という言葉。
方言に県民の個性が表れるように、言語にはその国独特の「個性」があるそうだ。
日本語の個性はというと、「動詞」中心であり、「終わりよければすべてよし」の構文であり、「室内語」であるところだという。
また欧文と比べると、日本語は「段落(パラグラフ)」をさほど意識しないそうだ。
たしかに、我々は「なんとなく」改行して段落をつけることがままあるように思う。
しかし、欧文では段落ありきで文章がつむがれるようである。

呼吸をするように日本語を発し、読み書きする我々にとって、日本語の個性を意識することはなかなかないだろう。
しかし、ひとたび日本語の個性に思いをはせれば、自らの言語と、母国がつむいできた歴史と文化を愛でずには入られなくなる。

(株式会社梓書院 前田 司)

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