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「健康経営優良法人二〇二〇」の申請受付開始

従業員の確保に必要なこと

日本の人口に歯止めがかからないことから、様々な業界において人手不足が深刻化している。
特に、大企業に比べて経営資源の乏しい中小企業は人の確保に苦労している。
企業を支えるのが人である以上、人材を確保できなくなれば、大半の場合、それは企業経営を継続できなくなるということを意味するだろう。
人手が足りない今(今年八月の有効求人倍率は全国平均で一・五九倍)、求職者から企業は選んでもらう立場にある。

つまり、求職者に対して企業の魅力をこれまで以上にアピールしなければならない時代になったということだ。
売上が上がっているわけではないが、従業員の流出を防ぐために給料を上げたという中小企業の話はよく耳にする。
従業員にとっては有り難い話だが、実態にそくさないコストの増加は、経営を圧迫することにもなる。
求職者へのアピールという点で考えると、今の時代、給料だけでなく「従業員の幸せに」対してどのように取り組んでいるか、ということが重要なポイントの一つであるとも言われている。

「健康経営優良法人認定制度」を御存じだろうか。従業員の健康維持、増進について企業がどのような対策や取り組みをするのかを申請し、認定を得るという制度である。

「健康経営優良法人」申請区分について

①会社法上の会社等及び士業法人:ホワイト500・大規模法人部門については従業員数、中小規模法人部門については
従業員数または資本金の額または出資の総額が下記基準に相当すれば当該部門について申請可能

②上記①以外の法人:従業員数のみで区分(下表より区分

元々、この認定制度の考え方は欧米から来ていると言われている。
欧米では、投資家が企業に投資する際、経営者の健康状態を投資の判断材料として重視した。
経営者が病気になったり死亡したりすれば、企業経営が立ち行かなくなる可能性が高いという考え方に加えて、自分の健康を管理できない経営者が、企業の経営、管理が上手くできるはずがないという見方も強いということである。
経営者の肥満や喫煙習慣が問題視されたのも、このような投資対象として経営者の健康を重視するからである。

当然、この考え方は、経営者だけでなく授業員の健康管理にまで広がった。
事業を拡大するには人が不可欠である。
従業員が健康でなければ、投資対象としての評価も下がる。
こうして経営者だけでなく、企業で働く従業員の健康管理に対する考え方が企業を評価する際の重要な要素になったわけだ。

この考え方が近年、日本にも入り「健康経営優良法人制度」としてスタートした。
この制度は、「地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する」もので、認定には大企業などを対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業を対象とした「中小規模法人部門」の二種類が設けられている。
「健康経営に取り組む優良な法人を『見える化』し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として社会的に評価を受けることができる環境を整備すること」を目標としているという。

同制度の認知度も年々上がってきた。
二〇一九年の認定法人は、中小規模法人部門で二五〇二法人、大規模法人部門で八一八法人が認定を受けている。
大規模法人部門では福岡県みやま市など自治体が認定を受けているところもある。

認定を受けることで、直接、補助金などの支援を受けられるわけではないが、企業として従業員の健康に配慮する「人に優しい企業」という評価を国から受けることができる。
近年のアンケートでは、企業が取引先に対して、この制度の認定を受けているかどうかを見るようになったという声も上がっている。
求職者からも、応募する際の基準にするという人も増えている。また、求職者の親がこの制度の認定を受けているかどうかを重視するようになったという結果もあるようだ。
今後さらに、健康経営優良法人制度に対する認知度が上がれば、中小企業であっても認定を受けることで企業のブランド力が高まることは十分期待できる。
求職者だけでなく、取引先や地域に対して企業姿勢を知ってもらう機会にもなる。

さらに、認定を受けた企業に対してインセンティブを付与する動きも広まろうとしている。
例えば、金融機関による融資優遇や保証料の減額や免除、自治体などによる表彰制度、・自治体が行う公共工事・入札審査で入札加点などが採用されている。
こうした取組は、今後一層の拡大が見込まれることから、健康優良法人制度の認定を受ける経済的なメリットも広がることになるだろう。

二〇二〇年の認定に向けた申請も中小規模法人部門の受付は既に始まっており、大規模法人部門についても、一一月から受付が始まるようだ。
申請の条件やスケジュールなど詳細については、経済産業省や厚生労働省のホームページなどで確認していただきたい。

 

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