open

『ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』

 

思い通りにいかない相手とのコミュニケーション

武士の必須教養と呼ばれているものに「弓馬」がある。
「弓」は自らの心身をコントロールする術を磨く教養。
そして「馬」は乗馬する技術を身に着けるのはもちろんだが、その真意とは、「思い通りにいかない相手(他者)とコミュニケーションをとること」にあったという。
その「思い通りにいかない相手」、つまり種族を超えた他者とのコミュニケーション能力こそが、ヒトを人たらしめたひとつの要因なのかもしれない。

犬と出会い、進化したという説

本書では、ヒトは犬と出会ったことで、「人」に進化したのではないか。
つまり犬との共生によって、言語や思考能力などを発達させてきたのではないかという説に迫っている。
犬との出会いが、人の心的特性を生み出したというと、突飛なことのように思われるかもしれない。
しかし、「知能を持った人が犬を従え、共生した」という認識から、「ヒトは犬との出会いによって、豊かな心性を育み人に進化した」という認識へのパラダイムシフトは、昨今の研究者らの間では、もっぱら新しいパラダイムとして受け入れられ、大いに研究が進められているという。

共に歩んできた人類のパートナー

犬と狼の違いはなんなのか。
人はどのようにヒトから進化していったのか。
ヒトと犬はいつ頃から出会い、どのように共生してきたのか。
犬は人間の感情を読み取るし、「思い込み」や「妄想」に囚われない理性的な行動を取る。
本書を読めば、犬がいかに特殊な存在であるかということを実感するとともに、人類のパートナーとして傍らにい続けてきたことに感謝の念を抱くかもしれない。

(株式会社梓書院 前田 司)

よく読まれている関連記事