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経営者と税理士と節税 |第八八回 利益の繰延と資金の繰延③

法人税の通達の改正により、支払保険料の損金算入割合が一部、変更となりましたが、養老保険に関しては変更がありません。
今回は、法人契約の養老保険の保険期間を延長した場合や短縮した場合の経理処理について見ていきます。
養老保険とは、被保険者が、保険期間内に死亡したときにも、満期まで生存したときにも、同じ額の保険金が支払われる生命保険で、生存保険と死亡保険とを組み合わせたものであるところから混合保険ともいわれます。
つまり、養老保険の保険料は、生存保険金に係る積立保険料と死亡保険金に係る危険保険料(掛け捨て)から成り立っています。

養老保険の保険料を支払った際の経理処理については、通達で示されていますが、期間延長した際や期間短縮した際の経理処理については、示されていません。
ですから、どんな現象が起こっているかを考えて実質で処理をする必要があります。

①期間延長(例:五年目で一〇年から二〇年に延長する)
本来、一〇年で払い込む保険料を二〇年で払えばよいので、五年目では保険料を払ずぎていることになります。
ですから、払いすぎている保険料が戻ってきます。
この返戻金は積立保険料部分と考えられます。
危険保険料(死亡保険部分)は、期間の延長に関わらず、利用されていると考えられるからです。
つまり、この場合の戻ってくる資金は、「保険積立金の戻り」となり、益金に算入する必要はない(既計上の保険積立金を超える部分は除く)と考えられます。
しかし、解説本によっては、支払った際と同様に、返戻金の半分を益金とし、残り半分を保険積立金の取り崩しとする処理としているものもあります。

②期間短縮(例:五年目で二〇年から一〇年に短縮)
二〇年で払い込む予定で支払っていたものを一〇年で支払わなければならなくなるので、五年目時点で不足分の保険料を追加で支払う必要が生じます。
この追加保険料は、生存保険の積立金の不足額と考えられるので、全額を保険積立金として処理をし、損金に算入できる部分はないと考えらえるので、注意が必要です。

井上税理士事務所
代表 井上 伸一

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