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『給食の歴史』

嫌いなものが食べられず、昼休み中、給食とにらめっこしていた。
そんな記憶を持つ方も多いのではないだろうか。
世代によって「給食」の想い出は様々だと思うが、「給食」の時間には独特の空気があり、ひとつの文化を形成しているように思える。
そんな給食は、いつから始まり、どのような変遷を経て、いまに至っているのか。そして、どのような課題があり、どのような未来を描こうとしているのだろうか。

近年、「おいしい給食」が増えている一方、「給食費の未払い」が問題視されている。
しかし、夏休みなどの長期休暇があけると、ガリガリに痩せてくる「欠食児童」の存在も、過去の話ではないということを忘れてはならない。
かつて給食は、「貧困対策」や「体格向上」を主眼としてはじめられた。
そこに、「教育」としての給食という思想が入り、校内で調理する「自校方式」の給食と、センターが数校分の給食をまとめてつくって配送する「センター方式」のどちらを採用するかで、議論が紛糾することも多々あった。

給食は「食育の現場」として、教育的価値を重視する姿勢は昔からあり、それを支えてきたのは、いつの時代も「子どもたちのため」という、現場の職員たちの熱い想いであった。
「学校給食が飼育ではなく、児童生徒が家畜ではなく、未来を作る主体であるならば、そこに真っ先に豊潤な予算が割かれてもおかしくない。」本書で著者がそう語るように、給食は子供たちの未来を変える力を持っている。
そう思わずにはいられない、魂のこもった一冊であった。

(株式会社梓書院 前田 司)

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