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『考える短歌 作る手ほどき、読む技術』

新元号「令和」の発表以来、大宰府の梅花の宴がにわかに注目を集めている。
と同時に、短歌がつむぐ三十一文字(みそひともじ)の世界にも関心が高まってきているのではないかと思う。
かく言う私もその一人。
ちょうど、詩や歌のもつ力や魅力に興味がわいていたところだったので、「短歌のひとつでもたしなめる教養人になってみたいものだ」と思い、本書を手に取った次第だ。
そして本書は、そんな思いに見事に応えてくれる一冊であった。

なぜ人は短歌を詠むのか。
「短歌は、心と言葉からできている」とは本書の言だが、短歌には「心のゆらぎ」が込められている。
そしてその心のゆらぎを伝えるため、あるいは残していくために、歌は詠まれてきたのではないだろうか。
「言葉を制限すること」は、創作の足枷になるように思われる。
しかし、実際には逆で、言葉に制限があるからこそ、手軽に創作することができ、自らの心のゆらぎを、より正確に表現できるのではないかと思う。
そして、より正確にその心のゆらぎを伝え、残すために、言葉の技術が必要となってくるのだ。

本書は、短歌の添削と鑑賞を通して、言葉の技術によって歌の印象がどれだけ変わるのか、そして名歌はなぜ味わい深いのかを教えてくれる。
短歌に限らず、文章表現技法の参考書としても、大変役立つものであった。
短歌の味わい方を学びたい方や短歌をこれから詠んでいきたいと思う、短歌初心者の方はもちろん、情緒的な文章を書くための技術を学びたい方にもオススメの一冊であった。

(株式会社梓書院 前田 司)

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