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第53回 「既に起こった未来」を確認する

コロナによる世界の変化

新型コロナは瞬く間に世界を変えてしまいました。
この原稿を書いている五月一四日には福岡県の緊急事態宣言も解除されました。
しかしながら、「コロナが一段落したとしてもすべてが元のように戻ることはない」というのが、大方の意見のようです。

また、「世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は一三日、新型コロナウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)と同様、消滅しない可能性があるという見方を示した。」との不気味なニュースもあり、今後も予断を許さない状況が続くものと思われます。

ドラッガーは、「変化の激しい時代においては、継続しているものとそうでないものを見分けることが重要であり、そこで観るべきものはトレンドではなくシフトである」、そして、「トレンドとは、過去の活動によってもたらされる量的な変化であり、一方シフトとは、質的に新しい、後戻りしない重大な変化のことである」と言っています。

さらに、質的な変化には過去がなく、したがって、いくら過去のデータを分析しても質の変化を掴むことはできない、質の変化、すなわちシフトを掴むことができるのは人間の持っている「知覚」であり、その「知覚」で「すでに起きた未来を観る」ことの重要性を説いています。
そして、「すでに起こった未来」は常に観えるものではなく、今回のコロナ禍のような重大な変化の時に垣間見えるもので、コロナの災禍が終息した後、平時になるとはまた観えにくくなるとも言っています。

したがって、今私たちが行うべきことは、「今だからこそ見える、すでに起こった未来」を見逃すことなく、その変化の意味を考えることでありましょう。

テレワークの効果

私自身の経験で、一番のシフトは「テレワーク」の実践です。
それを実現したZoomをはじめ様々なツールには目を見張るものはあります。
一昔前に数千万円をかけてやっていたようなことが、ほとんどコストゼロで実現できる世の中には驚きです。

頭の中では知っていても、なかなか仕事で実践するに至らなかったのですが、今回実際に使ってみて十分に使用できることが分かり、今後はこのようなルールのさらなる進歩によってビジネスのやり方が大きく変わると思われます。

テレワークが進めば通勤がなくなるだけではなく、広範な変化が予測されます。
たとえば、多くの経営者が、家賃の高い場所に広いオフィスが必要ないことに気づきましたので、これは今後のオフィス需要に大きな影響を及ぼすのは明らかです。
そしてそれは不動産の価値にも影響します。
さらに、多くの出張が減るのではないでしょうか。

半年前まで、月に二~三回は東京にいっていたのですが、今回の経験で、そのほとんどはZOOMで事足りることが分かりました。
また、空港での混雑状況を見るにつけ、今後は交通産業、観光産業は絶対伸びていくと確信していたのですが、それがものの見事に打ち砕かれました。

これからの当たり前を想像する

要は、当たり前のことが当たり前ではない世の中になりつつあるようです。
むしろ、「のど元過ぎれば」で、コロナも過去のものとなり、多くのことが元に戻ってしまうことの方が私には心配です。

であれば、今私たちの目の前にある現実、それも当たり前で今後もシフトしないと思われるものを、イメージの世界で一つずつぶっ壊してみるのも面白いかもしれません。
絶対変わらない安泰だと思われているものが壊れると、どのような世界が出現するかsimulationしてみると、ひょっとしたら「まだ起こらない未来」が垣間見え、今後のビジネスの大きなヒントが得られるかもしれません。

加藤合同国際特許事務所
代表・弁理士 加藤 久

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