open

『台湾の表層と深層 長州人の熱情と台湾人のホンネ』

東日本大震災の折、総額二五三億円という世界最高額の義援金を送り、世界一の親日国と言われる台湾。
二〇二〇年九月に逝去された李登輝元台湾総統が「台湾人の誇りは日本精神(リップンチェンシン)とともにある」と度々語っていたことを知る人も多いだろう。

この親日感情の背景を、「日本の統治がすばらしかったから、台湾はいまでも世界一の親日国なのだ」とひとくちに片付けてしまうのは、あまりにも軽率である。
たしかに約五〇年の日本統治時代に、インフラの整備、公教育の充実、興業の発展が進められたことは、まぎれもない事実であり、日本が台湾の近代化に大きく貢献したことは言うまでもない。
しかし、はたして台湾人たちは諸手をあげて日本の統治を歓迎したのだろうか。
台湾は古くから、中国本土からの移民、オランダの統治、明・清の統治と、外国からの力に翻弄されてきた歴史がある。
そんな台湾が辿ってきた歴史や台湾国内での対立、戦後の台湾の苦悩を考えると、安易に「日本のおかげ」とは言い難いところがある。

本書ではそんな台湾の歴史を数々の台湾映画とともに紹介し、台湾の今を台湾の音楽シーンを引き合いにだしながら分析する。
「世界一の親日国・台湾」があるのは、先人たちの努力と熱情、そして台湾人たちが複雑な想いを乗り越えた上でなお、親日国であることを選んでくれたおかげであるとも言えるだろう。
台湾への理解を深めることは、世界一の親日国への礼儀ではないか。

(株式会社梓書院 前田 司)

よく読まれている関連記事