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『くさいはうまい』

臭い食べ物といえば、なにを思い浮かべるだろうか。
日本人にとって最も日常的な食べ物で臭気が強烈な納豆、あるいは世界一臭い食べ物として知られるシュール・ストレングスを思い浮かべる方もおられるだろう。
他にもくさやや熟鮓、奈良漬けやキムチなども頭をよぎるだろうが、これらの共通点は、どれも「発酵食品」であることだ。

発酵食品は微生物の作用によって食材を変化させた食べ物だが、傍目には「腐っている」としか思えないものでも、立派な発酵食品だったりする。
人類は長年の英知により、実にさまざまな発酵食品を生みだしてきた。世界各地、どこへ行ってもそれぞれの文化の発酵食品が存在している。
なぜ人類はこれほどまでに発酵食品を求めたのだろうか。

理由のひとつは「栄養価が高い」こと。
発酵食品は生のままの食材に比べ、栄養価が非常に高まる。
なかには野菜が手に入らない極寒の地で、貴重なビタミン群を補給するために食べられてきた歴史を持つものもある。

そしてなにより発酵食品は「うまい」ことが、世界中で愛される理由だろう。
うまいと感じることができるかどうかは、その発酵食品を持つ文化をどれほど受け入れられているかにもかかってくるだろうが、発酵食品は総じて独特の味とにおいを持つ。
そんな世界の発酵食品たちの成り立ちから栄養価のことを解説したうえで、世界の「くさい」ものを食べ歩いてきた著者のレポートが続く。
身近な発酵食品の秘密を知りつつ、世の中にはこんなとんでもない食べ物もあるのだなと、好奇心と食欲がそそられる一冊だ。

(株式会社梓書院 前田 司)

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