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110.『すーちゃんとねこ』

今年はオリンピックをはじめとして、全てが予定変更を余儀なくされた、人類史上に残る年だった。
ありがたいことに、まわりの人たちもみな元気に過ごせていて、私自身も生かされている。
この当たり前が、当たり前でないことを噛み締めた感謝の年にもなりそうだ。

今月は、今年誰もが経験した意識を変えるとはどういうことだったか!を思って、「すーちゃんとねこ」を届けたい。
物語は、すーちゃんは何か落ちてないかと下を、ねこは何かおちてこないかと上を向いてお散歩するシーンで始まる。

木にふうせんが引っかかっているのを最初にみつけたのはねこ。
ねこにとって木登りはお手の物。
ふうせんを簡単に手に入れた。
すーちゃんは、それをいきなり奪い取り、家に入って鍵までかけて自分のものにしてしまった。
ねこは「ぼくのふうせん」と悲しくて泣き続ける。
早い朝、泣きながらもねこは木の上でふうせんを待つことにした。
じっと待って待って、ふうせんが流れてくる。
それをたくさん集めたところですーちゃんがやってくる・・・と、ここからが、この絵本の面白いところだ。

ねこはどうしたかというと、いっぱい手に握っていたふうせんを一つずつ「とんでけ~」と飛ばしていく。
最後、ひとつも残さずにすべてを手放す。
結局すーちゃんもたった一つのふうせんを「とんでけ~」と。
これが、絵本のお話。

「とんでけ~」これは二〇二〇年の生き方だったはずだ。
だって、私たちは一つのことに固執していたら進めなかった。
多くの人がいろんな感情を手放してきたはずだ。

そうやってみると、風船は執着であり、依存のように見えた。
私たちを生きづらくしている煩悩なのかもしれない。
ねこは、すーちゃんに取られて、かなしみと怒りといろんな感情が沸き上がったはず。
しかし、最後は、その感情をふうせんに乗せて、ぜ~んぶ解き放ってしまった。
お見事な最後だった。

そうだ!未来に必要のない感情はブレーキになるだけだ。
進むことができない思いを手放して、過度に求めすぎる依存を手放して!!と、すーちゃんとねこが教えてくれている。
気づくとなんといい絵本であったか。
長い間置きっぱなしであった。
あなたは、新しい年に向けて、何を手放しますか?す~~は~~っと深呼吸して、余分なものを置いて二〇二一年に向かいたいものですね。

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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