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『福岡市が地方最強の都市になった理由』

誰が言ったか、人口ブラックホールと噂される福岡市。
福岡にやってきた転勤族が帰りたがらず、九州中から若者が集まり就職していく福岡市が、二〇一六年に神戸市を抜いて政令都市第五位の人口になったことも記憶に新しい。
人口の増加数だけでなく、群を抜いた人口増加率はまさに福岡市の勢いを象徴するものであった。
数年前より、そんな「超成長都市・福岡」をテーマにした本の刊行が相次いだが、本書はその火付け役ともいえる。

いまでこそ九州を代表する都市となった福岡市だが、歴史を紐解いてみると、その地位を築いたのは割と最近のことだと気付く。
福岡市は東京、大阪に次いで日本第三の都市だと信じて疑わない市民たちにとっては信じがたいことかもしれないが、福岡市自体は元々豊かな都市ではなく、どちらかというと後塵を拝していた都市だ。
お金がない、水源がない、水源がないから二次産業が育たない、水源がないから市街地面積を急に拡大できないなど、ないないづくしの都市経営であったのだ。
福岡市は、さまざまな制約があったこと、だからこそ常識破りの手を打つことができたこと、そして民間主導の都市開発ができたことが原動力となり、他都市がうらやむ唯一無二の都市となった歴史がある。

そんな福岡市の成り立ち、歴史を把握しておくことは、福岡市をつくった偉大な先人たちへの礼儀であるとともに、次代の都市経営を担う者としての責務であるように思える。
超成長都市の恩恵を享受している身としては必読の一冊だ。

(株式会社梓書院 前田 司)

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