open

コロナ禍の二〇二一年に求められるもの

 

あまりにも時間が過ぎるのが早かった二〇二〇年。
新型コロナウイルス感染問題に、日本だけでなく世界が振り回され、社会の在り方、仕事の在り方、生活の在り方まで変わろうとしている。
こうした環境下で、我々中小零細企業はどうやって新しい年を迎え、乗り越えていけばよいのか。

コロナに振り回された一年

二〇二〇年は忘れられない年となった。
同時に、社会が大きく変わるきっかけになった年でもある。
四月七日、政府は緊急事態宣言を発出した。
この時の対象は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県七都府県の区域とされた。
これによって、飲食店の営業時間の短縮やコンサート、スポーツ観戦、集会、会議などの中止、移動の制限などが要請された。
こうした動きに対して、感染拡大を懸念する他の区域でも独自に緊急事態宣言を発出するなどしたことから、同じように対応を要請する自治体が全国的に拡大していった。

その結果、企業活動や我々の日常生活でも行動が制限された。
企業では、営業や商談での接触が禁止、あるいは制限された。
我々の日常でも、不要不急の外出や人との接触がはばかられ、家族ですら離れた地域で暮らしていると、なかなか会いない状況に陥った。
昼間だというのに、町から人の姿が激減したことを覚えている。

人が外出しなくなったことで、飲食店はじめ、映画館、イベント会場から人が消え、関係者は売上が見込めなくなった。
百貨店など小売店でも大きなダメージを受けた。
移動が制限されたことで、観光地や宿泊施設、土産物関係も打撃を受けた。
当然、移動手段となる航空、鉄道、バス、タクシーなども売上が激減した。

一方、移動の自粛により需要が拡大したものもある。
リモートワーク関連はその代表といえる。
オンライン会議やオンラインセミナーなどが頻繁に利用されるようになった。
日本人は、対面でのコミュニケーションを大事にする国民性もあり、対面による接触頻度の高さが業績に比例するという考え方が根強かった。
そのため、ITの活用が進んでいる欧米の先進諸国に比べて、生産性が低いという指摘を受けてきた。

しかし、一旦、リモートワークやオンライン会議などを経験してみると、「意外と便利」だということに気づいた経営者やビジネスマンも多かった。
通勤や顧客訪問のための移動時間が必要なくなれば、その分、生産性の高い他の仕事のための時間に充てることができるようになる。
打合せのための会議室や面談ルームもほかの目的に利用することができるし、必要なくなれば省スペース化も可能となる。
コロナの第一波が収束すると、元のスタイルに戻す企業も出てきたが、第二波、第三波が発生し、感染拡大に歯止めがかからない状況を考えると、リモートワークの流れは止められないだろうし、これが当たり前の時代になったといえるかもしれない。

持続可能性も重要なテーマになった

移動、外出の制限から巣ごもり需要も拡大した。
家にいる時間が増えたことから、ネットでの買い物や食事の宅配サービスを利用する人も増えた。
家で過ごす時間をいかに快適に過ごすかという意識が高まり、ホームセンターは売上を伸ばした。
ネット通販もこれまで以上に堅調で、ますます存在感を高めている。
旅行も遠方ではなく、生活している地域や周辺といった域内観光を楽しむマイクロツーリズムが注目を集めている。

新型コロナウイルスの感染拡大問題と並行するように関心が高まったのが、サスティナブルという考え方のように思える。
サスティナブルとは、「持続可能な」という意味である。
国連が二〇一五年に提唱した二〇三〇年までに達成すべき一七の目標「SDGs(エスディージーズ)」の認知度が今年に入ってかなり高まったのではなかろうか。
自然環境の維持に役立つ事業や開発、自然環境に配慮した行動を意識するようになったし、企業でもこの考え方を取り入れるようになった。
SDGsは、学校でも授業で取り上げるようになるなど、全世代的な関心事として語られるようになった。
二〇二〇年は、まさに、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした自粛による社会の変化とSDGs的な考え方が企業や組織を評価する基準になった年であるといえるかもしれない。

二〇二四年まで想定すべき?

二〇二一年はどのような年になるのか。
そして、どのようなビジネスが必要とされるのか。
やはり、コロナの感染拡大の状況如何といったところが大きいといえるだろう。
多くの経営者は、コロナの収束を二〇二二年と想定しているようだが、世界の航空会社で組織するIATA(国際航空輸送協会)は、世界での航空需要がコロナ前の状況に戻るのは、二〇二四年になるという見通しを発表した。
日本は諸外国に比べると感染拡大を低く抑えることができているが、経済がグローバル化した今日、海外で起きることは日本にも影響を与える。
つまり、日本でもコロナとの長期戦を見据えた企業活動やビジネスモデルの見直しが必要になるということだろう。

コロナ禍を前提にして考えると、当然、感染防止のための商品需要は高いだろう。
室内の温度を保ちながら換気を行うダイキンが開発した空調システムなどは需要が高まるだろう。
併せて、免疫力を高めるためのサプリや食事、生活習慣などにも意識が向くと考えられる。
住宅の在り方も変わるかもしれない。
リモートワークの普及で、屋上に庭を造ったり、家の中に仕事部屋を確保したりするような環境整備を考える人が増えるだろう。
サスティナブルな考え方からリサイクルや食品ロスなど社会問題に対する関心が高まり、そうした問題を解決するための商品開発や行動が支持される傾向はさらに強まる。

今年三月、環境省が使用済みかみおむつのリサイクルに関するガイドラインを発表した。
これまでは、使用済み紙おむつは埋め立てか焼却によって処理されてきたが、新たな選択肢としてリサイクルの有効性を認めている。

中小企業でも進むロボット化

サスティナブルな考え方は、人の生き方を問うことにもなる。
モラルや哲学などについて考える機会も増えるのではないだろうか。
コロナ問題で、人々の心が疲弊している状況を考えると、社会の安寧と個人の心を守るためのサービスや商品がより求められるようになる。

中小企業においては、こうした社会的な動きを察知した商品開発やサービスの提供が求められる。
一方で、生産性の向上に対する取り組みも必要である。
コロナによって、リモートワークやオンライン会議が普及したことで、ITに対する心理的な壁がずいぶん低くなったように感じる。
ITが苦手な経営者も、補助金を活用してIT導入に踏み切る流れは止まらないと感じている。
IT導入の遅れは、時代に取り残されることを意味するといっても過言ではないという段階にまできている。

その中でも、RPAの普及が中小企業でも進むのではないかと考えている。
RPAとは、ロボティクス・プロセス・オートメーションの頭文字をとった言葉。
業務の効率化や生産性向上を実現するためのテクノロジーとして注目を集めてきた。
しかし、導入したのは大半が大企業で、中小企業での導入はなかなか進まなかったようだ。
RPAは、AI(人工知能)と混同されるが、学習するものではなく、パソコン上で行う作業手順を指示すれば、その作業を自動で行ってくれるというものだ。
例えば、請求書発行業務をRPAで行うことができる。
顧客データに基づき、請求金額など必要な項目を入力しておけば、請求書作成から発行まで人の手を介すとなくできる。
数十件程度の数であれば人力で対応できるが、数百件、数千件、数万件ともなると、処理するために膨大な時間を要する。
人が行うことだけに、入力ミスなども生じる。

ほかにも、会議のための必要なデータを集計し、報告資料を作成したり、新入社員の雇用保険の申請手続きなどもRPAで対応できる。
定期的にインターネットから設定した項目やキーワードを拾い出し、資料を作成するなどもできる。
こうした作業を人が行うとなると平日の業務時間を使うわけだが、ロボットであれば、社員が働いていない夜中や休日でも作業してくれるし、効率が低下することはない。
生産性は格段に向上するというわけだ。
中小企業の人手不足解消にも貢献するだろう。

動画への取り組みも必須

RPAの応用範囲は今後、さらに広がるものと思われる。
この流れは、さらに加速するであろう。
中小企業こそ、こうしたITを活用して経営の効率化を図ることが必要であるといえる。

通信関係のコストが下がり利便性が向上することもIT化を後押しする力になる。
菅政権は、携帯電話の料金引き下げを推し進めている。
諸外国に比べて割高だと言われる日本の携帯代を引き下げようというものだ。
携帯キャリア各社も新しい割安プランを投入するなど、携帯料金の引き下げが本格的に始まった。
楽天モバイルなど格安スマホが参入するなど、利用者の選択肢も広がっていることから、今後、さらに携帯代の料金は下がるかもしれない。

通信技術の進歩とスマートフォンの普及は、コミュニケーションの手段だけでなくライフスタイルも変えた。
テレビよりもユーチューブで動画を見る若者が増えているのも、それを象徴する現象であるといえるだろう。
少し前まで、テキストと画像での情報発信が主だったネットが、動画配信を中心とした環境に変わりつつある。
企業でも、動画を使った商品説明やマニュアルづくりに力を入れているし、ユーチューブなどでの企業PRを展開する中小企業も増加している。
来年からは5Gが使えるエリアも拡大するだろう。
コロナでオンラインセミナーやオンラインショッピングの市場が拡大していることを考えても、5Gの普及は動画時代を後押しするものとなりそうだ。

二〇二一年は、中小企業がデジタルシフトする重要な節目の年となるだろうし、この流れについていきたいものである。
経営者も時代の変化に対応するためには、ITについて学ぶ必要がありそうだ。

 

よく読まれている関連記事