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RPAの普及を推進し、中小企業の経営効率化を支援

日本は、先進国の中でIT化が遅れている。
トップに比べると周回遅れだと揶揄されるほどだ。
企業にとってIT化は経営の効率化を図り、企業間競争で生き残っていくために必須である。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、PCを使って人が行っている作業をロボットが代わりに行うというものだ。
RPAで何ができるのか。
福岡に拠点を置き、国産のRPA開発を手掛けるリーディングエッジ株式会社(福岡市中央区)の瓦田信吾社長に話を聞いた。

様々なホワイトカラーの作業を自動化

―そもそもRPAとは、どのようなものですか。

瓦田 ひと言でいうと、ホワイトカラー業務をロボットが代行して自動化するソフトウェアのことです。
よく、AIと混同されますが、AIは人に例えると、頭脳にあたり、ビッグデータに基づいて学習し、将来を予測するなど思考することができます。
一方、ロボットはそれ以外の部分、人間でいうなら頭以外の手や足など、体を動かすものだと理解していただければわかりやすいと思います。

―具体的には、どのようなことが自動化できるのですか。

瓦田 例えば、会計事務所ではクライアントの決算処理のために年間データを集計します。
会計ソフトに項目や数字などの仕訳を入力すると、その後の集計作業などをロボットがやってくれます。
入力さえも自動化できますし、経営指導用の資料も作ることができます。

一件当たりの処理時間が10分程度であっても、数百件、あるいはそれ以上のクライアントを持つ会計事務所になると、かなりの時間を使って人が作業しなければなりません。
それをロボットが、人がいない時間にでもやってくれるわけです。
こうした単純業務をロボットが担うことで、人はもっと付加価値の高い仕事により多くの時間を使うことができるようになります。

データのチェックも自動化できます。
例えば、顧客データも年数経つと住所や電話番号が変わることがあります。
引っ越したなど連絡を電話で受けて、それをオペレーターが入力すると、自動更新や削除するっことができます。

社会保険と雇用保険の申告書の作成を作成し、電子申請まで自動化もできます。
例えば、新しい人が入社した際、必要な情報をエクセルシートに入力します。
あとは、ロボットがエクセルシートを開いて必要な項目を社労士向けのアプリケーションに入力し、登録と申請書作成を行います。
作成した後に電子申請も自動で行うことができるというものです。

クラウドにも対応

―クラウドでも使えますか。

瓦田 クラウドにも対応しています。
例えば、ある運送会社ではクラウドで運行情報を集めています。
ドライバー毎のエンジンをかけてから、切るまでのいろんな情報です。
例えば、自動車運転時の速度・走行時間・走行距離などのほか、乗車して何時何分にエンジンをかけて何分に切った情報やブレーキを踏んだ時間、荷積みや荷下ろしなどの情報までクラウド上に集められます。
ETCとの連携も可能ですから高速代も自動集計されます。
こうした数百項目の情報を車から通信で吸い上げ、本部ではドライバーコードなどの情報を入力して個人別にすべての情報を取得します。
こうした一連の情報取得からデータ化なども自動化することができます。

当然、webブラウザのクロームを使った自動化もできます。
例えば、ある不動産会社では、定期的に指定した物件サイトから条件を指定して担当エリアの最新の物件情報を自動で取得しています。
取得した情報は一覧表示にまとめ、賃貸の紹介や物件の売買など、目的に応じて加工し活用されているようです。
こうした営業支援的なデータ収集、資料作成も自動化されるようになりました。

―営業支援的なRPAの活用としては、他にも事例がありますか。

瓦田 保険代理店を例に挙げましょう。
保険代理店の多くは、生損保合わせて複数のメーカーの商品を扱っています。
商品の条件や内容が異なるため、情報が必要な時はその都度、メーカーのシステムにアクセスして情報を集め、整理する必要があります。
メーカーが保険料など商品情報を変更すれば、代理店としてもその情報に対応しなければなりません。
この作業にかなりの手間と時間がかかっているようです。
顧客から問い合わせを受けて、メーカーのシステムで調べるのも手間がかかるそうです。
そのため、顧客管理はかなり面倒なようです。

そうしたメーカーの情報を収集し、自社の管理システムに反映させることを人ではなくロボットにやらせることで、かなり効率化を図ることができるようになりますし、ミスも格段に減ります。
複数のメーカーの商品を扱っている代理店さんからのニーズは高いですね。

―中小企業がRPAを導入する大きな目的に人の採用が思うようにできずに苦労しており、そうした人手不足の解消が多いと聞きます。

瓦田 コロナ前は、確かに人手不足の解消を目的に導入する傾向にありました。
しかし、最近は手間がかかる在庫管理などを自動で認識して、仕入れや発注までも自動化したいという業務の効率化のために本腰を入れてデジタルシフトを図ろうと考える企業も増えているように感じます。

シナリオ作成に専門知識を要しない

―御社ではRPAなどロボット化のシステム開発を手掛けておられます。
しかし、中小企業がRPAを導入、運用するには敷居が高いように感じるのですが。

瓦田 ITと聞くと、腰が引ける経営者やビジネスパーソンが多いのは事実です。
ただ、当社が開発している「F-AutoLabor」なら、専門的な知識がない方でもRPAを運用活用することができるようになります。
独自に開発したシナリオクリエーターを使って、人がパソコンで使用するソフトや作業手順を指示する、いわゆるシナリオを作成していきます。
シナリオが完成すれば、ロボットが自動でその通りの作業を行います。

既存ソフトをつなげれば、今までできなかったシステムの構築も可能になる。
新たにシステムを構築する必要はありません。
シナリオは一度作ってしまえばデータが変わるだけで、請求書や見積書、明細書などフォーマットが同じものであれば、テキストデータだけを変えるだけで、いくつでも自動でできます。

―それだけ簡単にRPAが使えるのであれば、各企業で自社のやり方に合わせた運用ができそうですね。

瓦田 最近は、顧客情報の管理などコンプライアンスへの対応もあり、RPAを自社で作成したいという中小企業も増えてきました。
社員教育の一環として、シナリオを自社で作成したいという事例もあります。
ただ、複数のアプリケーションを連携するような応用編になると、IT技術者でないと難しいところもあるので、そういう場合はテクニカルサポートや導入設定の具体的なサポートも行います。
企業さんの要望に合わせて柔軟に対応できる体制は整えています。

難しいプログラムは必要ない

―RPAを実際に導入したものの、操作が難しくRPAを活用することなく眠っているという事例があるのではないでしょうか。

瓦田 当社では、導入いただいたらサンプルシナリオを作り、それをベースにしてレクチャーします。
ITアドバイザーがまずレクチャーしてお客様に作っていただいて、分からないところはリモートで具体的にサポートします。
そういうテクニカルサポートを基本的に半年間行います。

―自社で作れるようになるまでには、半年ほどを要しますか。

瓦田 簡単なシナリオなら2、3日~1週間程度で、ご自分で作れるようになると思います。
シナリオを作成するために、難しいプログラムの知識などは必要ありません。
ワードとエクセルが使える程度のスキルがあれば、誰でもシナリオを作ることができます。
テクニカルサポート期間は、簡単な業務から徐々に応用編へステップアップして頂き、様々な自動化を自社内で構築出来る様になるまでの期間です。

また、複数のアプリケーションを自動連携するような応用編になると、それに沿ったサポートも行います。

プログラムでRPAを我々が作るというのは、正直いって費用面等で無駄だと思っています。
会社独自の情報もございますので、なるべくお客様の方で、作れるようになるのが望ましいと考えています。

御社が開発されたRPAの特徴は。

瓦田 マウスとキーボード操作で自動操作できるフル制御型というところが最大の特徴だと思います。
画像処理専用のRPAがあります。
これは、あくまでも画像を認識して自動化しているものです。
当社の製品は、完全にオペレーターの代わりに操作しているものですから、パソコンのフル制御が可能になります。
フル制御型ですから自動化率はほぼ100%です。

国内で開発されている他の製品は、アメリカやイギリス、イスラエルのRPAがベースになっているものが多いようです。
画像認識型や記録型の多くは、そうした海外製品の流れだといえるでしょう。
画像認識型や記録型は自動化(パソコン制御)率に限りがあったり、その他、細かい部分での自動化調整がしづらいと聞いております。

日本は人の代わりに操作することを目的(フル制御型)に開発を始めましたから、海外製品と日本製品では開発のアプローチが異なります。

中小企業への普及に注力

―RPAにはいつごろから取り組んでいるのですか。

瓦田 約四年になります。
RPAの開発に取り組んだのは、九州ではかなり早い方だと思います。
その頃からレイバーのパーツづくりを進めています。

―「F-AutoLabor」は「福岡県IoT認定製品」、「福岡市トライアル優良認定商品」として、認められていますね。

瓦田 認定をいただいたことで、今後の普及に弾みがつくと期待しています。
また、昨年春には、ふくおか電子自治体共同運営協議会のRPA共同実証試験に参加させていただきました。
当社はふるさと納税業務のオペレーションを自動化する実証試験です。
この実験では、人が行う作業時間を九五・二%削減しました。
RPAの効果を実証できたと思います。

―価格はどのくらいですか。

瓦田 内容にもよりますが、オートレーバーだとシナリオ付きでベースとなる標準的なものが90万円程です。
請求書、見積書作成等一般的なホワイトカラー業務はお客様の方でシナリオを作成できます。
当社でサポートするのは、テクニカルサポートぐらいです。

―今後の開発についてはどのような方向で考えていますか。

瓦田 AIを搭載した製品の開発も準備しています。
今はオーダーメイドですが、オリジナル機能作成としてAIや監視制御なども手掛けているところです。

―今後の目標は。

瓦田 福岡県や福岡市からの認定もいただきましたので、多くの中小企業のお役に立てるよう努めていきたいと考えています。

―RPAが効果を発揮すると考えられる業種は、どのようなところですか。

瓦田 どこでもパソコンは導入されていますので、全業種が対象になります。
あと、売上UP、一歩先のサービスや効率化を図る道具として有効利用していただければありがたいですね。

―将来的にどんな会社にしたいですか。

瓦田 引退に近い年齢なので、若い人たちがやりがいを感じて、誇りをもって仕事できる会社にしたいですね。

―これからも中小企業の経営を支えるモノづくりを期待しています。

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