open

114.『じめんのうえと じめんのした』

芽吹きの季節がやってきた。
この春に届けるのは、アメリカの植物学者が文と絵を描いた『じめんのうえと じめんのした』。
私たちの大切な命の源である植物について描かれた「かがく絵本」で、全ページが無地の地面の上と、黄色い地面の下の2層仕立てという特徴ある作品だ。

この地球で生きる多くの動物と人は主に地上で暮らしているが、植物はその両方で生きている。
背の高い木の地上の姿と、横に広がる地下の根の様子だったり。
枝を大きく広げた木の、まっすぐ深く下に伸びる根の様子だったり。

さらに、人参のように根が大きくなるものや、ひげもじゃの根っこをもつ背高のっぽのトウモロコシ。
根っこと思ったものが実は茎で、地下で大きくなるじゃがいものような植物。
など、「動物や私たち人間と違って、地面の上と下の両方で、必要な栄養を得なければ生きていけない」ということがよく理解できる内容になっている。

今回注目したいのは、植物の地上の姿と根の関係性。
それを。組織で働く人が活き活きと力を発揮できる職場環境と置き換えて考えてみよう。
そして、例えば、天を目指して大きく伸び、美しい花を咲かせたり、成果という実を結んだり、私たちの組織の土壌で、人は思ったように育っているか?といった問い立てをしてみる。

そうすると、栄養を吸収するために重要な役割をもつ「直根」を、時には育成と称してバッサリと切り落とし、根から必要な栄養を取れないようにしまってはいないだろか?

人材育成とは、木を育てるが如し。
特に、今、地面の上は、自然災害、気候変動、細菌感染と、大荒れだ。地面の上と地面の下。
人が根を張るための土壌ならぬ風土づくりについて、この1冊から学ぶことができそうだ。
自然は偉大なコンサルだ。優れた教科書だ。哲学書だから。

たった、黒と黄色と緑の3色の絵。
絵も文もどちらも、どちらの領域も侵さず、きちんと成り立っていて、シンプルながら、要点を捉えた絵と文の調和が見事な1冊です。

あなたはやる気という直根を切っていませんか?

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

よく読まれている関連記事