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『くうきのかお』

札幌で「自然から学ぶ」の建学の精神を掲げ、幼児教育を行う学校法人との仕事が始まった。
絵本に慣れ親しんでいる教職員を対象に、人材開発のプログラムが導入されたのだ。
そのキックオフのために、先月千歳空港の空気を久しぶりに味わった。

札幌は、過去二回、合わせて七年半住んだことがある懐かしい土地。
到着した日は、前日まで厚手のジャケットを着ていたという寒さから予想外の初夏の陽気だった。
肌にほんのりと感じる私の中の北海道の空気の硬さや透明感。
出張の多い当時、各空港に降り立った瞬間に出会う空気の色、におい、触感、重さ、硬さ、温度、肌のまとわりつき方などの違いを季節ごとに楽しんでいたことを思い出した。
きっと、国内外問わず出張の多い人は、この感覚を味わったことがあるのではないだろうか。

今は、人が放つ気がプラスされた職場の空気が興味深い。特に職場に限定されたものではないが、

来客としてドアをあける。一斉に立ち上がってご挨拶をいただく。
でもそこには、笑顔のない張り詰めた空気を感じる時もあれば、ドアをあけた瞬間の柔らかい空気に、気付くと優しい笑顔が待っててくれることもある。

お茶を運んでこられる社員様の周辺に漂う空気の優しさに会社のファンになったり、目に見えないはずの組織が持つ空気が働く人を介して見えてくる。

今月紹介する絵本は、子どもたちが美術に触れ親しむためのシリーズの1冊『くうきのかお』。
表紙は、葛飾北斎の「かわらと蛙」。苔むした瓦をまたいだ蛙が描かれている。
それは、向こうの世界が安全かどうかを確認し、飛び出そうとする瞬間。
この日本画の絵に孕む緊張とワクワクの空気。それを感じようという趣だ。

ページをめくり、本文最初は蝶の絵。
ここからは、文がガイドして空気の顔をみることができる。
羽・触角が震える様子や、画家がそれを写生していた時の息遣いまで感じないか?と絵本は問いかけてくる。
こうして次々に現れる名画から、空気はその存在、対象の関係性、見る者の感情によっても変わってくることに子どもたちは、気付いていくのだろう。

絵本と同じように、私たちのまわりを見渡してみたい。
空気はどんな表情をもっているのか。
自分はどんな空気を放っているのか、どんな空気が人を成長させるのか、俯瞰してみることも面白そうだ。

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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