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1汁1菜という「システム」が、心を軽くする

1日3食、1汁3菜。

それが食事の理想形として語られるようになったのはいつ頃からだろうか。

しかし、そんな「正しい食事」像が家庭料理の作り手を苦しめているという実情を見過ごしてはならない。

お店で食べる料理と、家庭料理は同じではない。

手料理という言葉にはなぜだか、「家で食べるお店の料理」という一種の脅迫めいた思想が張り付いているようにすら思える。

料理が趣味であればそれでもいいだろう。

しかし、たとえ料理が好きであっても、三六五日間お店の味を求められるとさすがに疲れてしまわないだろうか。

事実、本書で語られる通り、料理が苦手な方や、忙しさや疲れで料理をする気になれない方は、そんな息苦しさを抱えながら、一生懸命に料理をつくっているのだ。

だからこそ、「1汁1菜でよい」という考え方が浸透していってほしいと願う。

家庭料理はやはり心と体を整える、素敵な役割を果たしていると思う。

しかし、料理をすることが苦痛になってしまえば、本末転倒である。

ちょっとひと手間加えるだけでいい。

ご飯に漬物あるいは味噌を添え、たまたまあった食材で作った味噌汁と一緒に頂くだけでいい。

それだけで十分幸せなのだ。

料理研究家の著者によるレシピ集かと思いきや、「食」を通して大切なことはなにかを教えてくれる、現代人必読の一冊。

 

(株式会社梓書院 前田 司)

 

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