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『ちよにやちよに』

昨年から問い続けた「国歌とは」。

多くの人と語らい、何冊かの本を読んだ。

中でも、弓狩匡純さんの著書『国のうた』は、世界の国歌が紹介されていて、面白かった。

そこには、生々しい侵略や戦争など多くの命の犠牲のもとで生まれた歴史の伝承者としての、国歌の役割が記されている。

隣国との戦いに奮い立つ歌であったり、植民地支配から独立を願う自由への賛歌であったり。

これだけで、国が見えてくるから不思議だ。

この世界の国歌は、きっとオリンピックの入場行進や表彰台で聞くことができるだろう。

 

日本は君が代。

厳かな雰囲気をまとう曲について、誰が作ったのか、どんな意味をもっているのか、なぜこれが国歌なのか、正しくわかっている人はどれくらいいるだろうか?

 

君が代は、元をたどると、約1100年前の平安時代に編纂された古今和歌集にあった。

題知らず詠み人知らずの歌は、『わが君は 千代に八千代に さざれ石の巌となりて 苔のむすまで』とある。

「わが君というのは、当時、主に女性が愛する男性を呼ぶ時に使った言葉。つまりこの歌は、愛する人に贈るラブレターなのよ」と、博多の歴女・白駒妃登美さんから聞き知ったのが2019年秋。

そこから「この大切なことをもっと多くの人に!」の気持ちが私の中に満ちてきた昨年。

彼女に、出版社、画家、翻訳家をつなぎ、絵本について薀蓄を述べ、構成に口を出したことで、気付けば、絵本プロデュースという役になっていた。

好きが高じて、とうとう作り手の1人となってしまった。

 

絵本には、君が代の誕生の物語と、本来の姿が描かれている。

それは、「祝い、寿ぎ、祈り、喜び」に満ちた暮らしの中で、命を尊び、愛を贈る歌として愛され、歌い継がれてきた長い旅のことであり、未来へ続く世界観を表現した。

作者の、優しく心に染みてくる文。

色鮮やかな日本画から伝わる日本の心や情景。

世界の人に届けようと英訳も入れた。

この君が代の物語は、長野の出版社の熱い情熱と強い意志に支えられて世界に発信されていく。

 

国歌が、愛国心を養う歌であることは間違いない。

しかし、自国だけを愛して、他国はどうでもよいと蔑む心を愛国心とは言わない。

自国も他国も同じように尊ぶ心。

その意味さえも抱きしめたこの絵本が、世界の人のラブソングに、そして、日本で働く人たちの誇りとなることを願っている。

 

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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