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ふるさとが消える!

私が生まれ育ったのは、福岡県の南部、筑後市というところで、さらに筑後市でも南部の下妻校区の中折地という小さな集落です。

近くには皆様もご存知のソフトバンクのタマホームスタジアムが建設され、我が家の近くまでソフトバンクの選手がランニングする姿が見られるようになりました。

 

そのわがふるさとが、昨今の少子化の影響に伴い大きく変わろうとしています。

その1つが、過疎化で、いわゆる限界集落化です。2つ目が、過疎化にも関係しますが、明治時代から続いた「下妻小学校」が、隣接する小学校と統廃合されるようです。

実家には、今はだれも住んでいませんが、盆や正月には墓参りに行くと、福岡市の喧騒に慣れている身からすると、人が全く歩いていない風景はやはり異様さを感じます。

 

私が小学生のころは、それでも300名以上の生徒がおり、それなりに活気があったのですが、聞くところによると、全校生徒数が100名を大きく割り、やむなく統廃合となったようです。

これも世の流れで、仕方のないところなのでしょうが、どこか、寂しさを感じるのも事実です。

 

下妻校区は特に雇用を創出するような産業も無く、実家近くの人の多くは、農業と会社勤めのいわゆる兼業農家です。

定年を迎えた人が農業法人をつくり活動しているようですが、若い人で農業一本で生活している人はいません。

地元で働き食っていけないから、どうしても人口流出になってしまうのです。

 

ところで、皆さんに考えていただきたいのですが、私の実家近くの農地、例えば、1,000㎡(300坪 1反)は、いくらで取引をされていると思いますか。

実際に取引事例は少ないようですし、真偽のほどはわかりませんが、驚くことに1,000㎡が50万円前後らしいのです。

300坪の1月の賃料ではなく、購入費用が50万円程度なのです。

1坪にすると1,666円です。

田舎とは言え、福岡市の通勤圏にある農地の価格なのです。

信じられないことですが、米作による収入を考えるとむしろこれでも高いと言わざるをえません。

 

古い統計ですが、平成11年産米の資本利子・地代全額算入生産費(全算入生産費)は10a当たり16万5,522円であり、10a当たり粗収益の13万2,026円を上回っているのです。

稲作粗収益はコストを賄えず、低収益どころか赤字経営だということであります。

米は日本人の主食であり、国家安全保障上もこれを確保することは大事なことですが、簡単にいうと、米だけを生産して生きていくことは今の日本では不可能ということであります。

 

工業製品と比べ、なぜ農産品の生産性がこのように低いのか。

このようなひずみはいずれ是正されることとは思いますが、戦後の政府の農業政策にも大きな原因があるように思います。

農業にしろ、金融にしろ、政府の庇護のもとになりたっていた事業は、その場はなんとか凌げますが、1つの例外もなく、時代の大きな変化の中で競争力を失い、衰退し消滅して行く運命にあるようです。

また、これからのさらなる人口減少を考えると、若い人が希望をもって農業経営に進出することができるような抜本的対策が必要なように思います。

 

生まれ育ったふるさとを離れ(捨て)福岡市に居を構えた私が偉そうなことは言えませんが、自然を残しつつ、知恵を出して希望に満ちた生活ができるような何かができればと思っています。

 

加藤合同国際特許事務所
代表・弁理士 加藤 久

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