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地図から読み解く世界情勢

「国家というのは基本的に地理によって制約される。
地理的制約が国家の性格の基本の部分をつくり、さらには対外国の姿勢の基本部分をつくり、そしてそれらはきわめて厄介なことに、その時代々々の国家がもつ意思以前のことに属する」

 

本書でも引用されている、司馬遼太郎の『坂の上の雲』の一節だ。
アフガニスタンはなぜ戦火にさらされ続けているのか。
イギリスはなぜ、当時新興国だった日本と日英同盟を結んだのか。
ロシアがウクライナに固執するのはなぜか。
沖縄米軍基地の県外移設が実現しないのはなぜか――。
そんな疑問に本書は「地政学」という視点から答えてくれる。

 

終戦から75年以上が経過し、軍事研究や安全保障の議論がタブー視されているような日本人にとっては、国際的な軍事戦略と言われてもピンと来ないかもしれない。
しかし、誰もが戦争を望んでいないとはいえ、平和を願い、祈ることと同様に、戦争が起きないためにどうしなければならないかという、国家戦略も極めて重要である。
そしてその国家戦略とは、「地政学」に基づき考えるべきであるということを本書は教えてくれる。
もちろん、地政学は戦争のためだけではなく、経済振興においても重要な視点だ。
冒頭の引用文の通り、国家は地理的制約から逃れることはできない。
グローバル社会と言われて久しい今日。日本はいかに舵を切っていくべきかを考えさせられる1冊。

(株式会社梓書院 前田 司)

 

『戦略の地政学 ランドパワーVSシーパワー』
秋元千明/著
ウエッジ/刊
1,600円+税

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