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『せかい いち おおきな うち』

 

私は家族の転勤に伴い、15年を9か所の地域で暮らした。
それぞれ居住の期間は最短2か月、最長3年。
繰り返すうちに、転居に伴う手続きはもちろん、荷解きの計画、梱包など、いかに早く日常を取り戻すか!を目標に、心配する両親をも唸らせるくらいにはなっていた。
家族が増えると当然荷物も増える。
捨てきれない私にとって、引っ越しは、快適に暮らす部屋づくりに欠かせない強制的断捨離の機会だった。

 

2021年もカウントダウンに入る。
そろそろ年に1度の断捨離の時だ。
1年のたまりすぎた「いらないもの」をミニマムな生活に戻せるチャンス!・・なのだが、なかなかどうして思い通りに捨てきれない。
そこで、自分を鼓舞するためにこの1冊!『せかいでいちばんおおきなうち』。

 

まるでイソップ寓話であったかのような佇まいを持つレオ・レオニの作品。
幼いころから小動物を見つめ続けた彼の世界観を存分に味わえる。
『父親から聞いた 愚かなかたつむりの話を忘れずに 賢く生きたかたつむりの物語』―(レオ・レオニ 絵本の仕事図録より引用)だ。

 

「愚かなかたつむり」が、大きさだけにこだわり続け、重みで動けなくなり、1人ぼっちで家だけを残して死んでしまった。
この話を父親から聞いた「賢いかたつむり」は教えを守り、家は小さいままに、心も身も軽くして、美しい世界を味わい賢く幸せに生きた。
この対比が「持つ」より「ある」生き方について考えさせられる。絵に現れるこの豊かな自然の中で楽しく生きる様子が、もう1つの物語の悲しさを印象的にする。

 

近年、最小限のもので生活するミニマリストが増えている。
また、当たり前になりつつあるリモートワークや自然豊かな場所でのワーケーションなどの2拠点生活も人気らしい。

 

持たないあり方を選ぶ若い世代の人たちと賢いかたつむりに学ぶとしたら、役に立たないものを持ちすぎて、この絵本のキーワードである「うどのたいぼく」にならないためにも、サスティナブルな最小限度の生活を考えるべきなのかもしれない。

 

かくいう私は、「あれもこれも思い出、その内いつか使うはず」なんて、「持つ」ことがもったいないに通じると信じてきた世代。
身も心も軽くして美しい世界を味わう「ある」生き方に変えるためには、ものよりも、まず欲と見栄と執着を捨てるべきなのかもしれない。

 

有限会社ウーヴル(https://oeuvre.jp/
代表取締役 三宅 美穂子

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